【3月22日 AFP】東北地方太平洋沖地震と津波による被害で事故を起こした東京電力(TEPCO)福島第1原発では、22日も作業員たちが原発の冷却システムを復活させる作業に取り組んだ。一方、海からの放射線検出を受けて、食の安全に対する不安が広がっている。

 福島第1原発は、22日夜までに1~6号機のすべてで外部から電気を受ける準備が整った。しかし事態の収束に向けて機器を稼働させるまでにはまだ多くの作業が必要とされている。

 日本を第2次世界大戦(World War II)以来最悪の危機に陥れた地震と津波で日本の北東部沿岸部は広い範囲にわたって甚大な被害を受け、22日夕までに9079人の死亡が確認され、届け出があった行方不明者と合わせると2万2000人を超えた。

 震災のショックのただなかにいる日本は、さらに福島第1原発からの放射線という目に見えない敵の脅威にさらされている。福島第1原発は約3000万人が住む首都圏から250キロの位置にある。

■食品から、海水から、水道から放射線

 東京電力は22日、福島第1原発周辺の海水から放射性物質を検出したと発表した。これを受けて厚生労働省は同日、沿岸水産物のモニタリング強化を要請した。もっとも東北地方の太平洋沿岸部では多くの漁港が地震と津波で漁船が破壊されるなどの大きな被害を受け、同地方の漁業はすでに停止状態に追い込まれている。

 放射性物質は、都内など複数の都県の水道水からも検出された。厚生労働省は福島県内の5市町については、水道水をミルクなど乳児に飲ませる飲料に使わないように通知した。

 政府は21日、原乳や野菜などから通常値を超える放射線量が検出されたことを受けて、福島県とその周辺の計4県に一部の食品の出荷制限を指示した。蓮舫(Renho)消費者・食品安全担当相は「規制値を超えた食品は市場に出回らない。食品を口にしても直ちに健康には影響は出ない」と語った。

■懸命の放水

 原発作業員や技術者、消防隊隊員、自衛官らは原発を制御下に置こうと取り組んでいるものの、21日には3号機から灰色がかった煙が上がり、作業員たちは一時退避を余儀なくされた。消防隊は、毒性の高いプルトニウムを燃料に含んでいるために特に懸念される3号機に向けて再び放水を行った。

 また、約50メートルの高さから狙った位置に大量の水を注入できるコンクリート圧送機を使って4号機の燃料貯蔵プールへの放水が行われた。さらにアームの長さが60メートルを超える車載型のコンクリート圧送機も中国から現場に向かっている。

 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥(Yukiya Amano)事務局長は21日、「危機が克服されると確信している」と述べたが、フランス原子力安全局(Nuclear Safety AuthorityASN)は、原発の近接地域の汚染は「何十年も」続くだろうと警告している。(c)AFP/John Saeki