【3月20日 AFP】東北地方太平洋沖地震と巨大津波の被災地で初の仮設住宅の建設が19日、岩手県陸前高田市で始まった。

 陸前高田市の市立第一中学校の校庭でプレハブ住宅36戸を建てる工事が始まり、作業員らが木杭を運び込んだ。同県では家を失った避難者数万人の収容を目指す。

 1戸の広さは30平方メートルで2~5人の家族用。各戸はダイニングキッチンと居室二間からなる。陸前高田市を襲った津波で自身も家を失った戸羽太(Futoshi Toba)市長はAFPに、短期間のうちに第一中学校の校庭に200戸の仮設住宅を建設する計画で、3月末か4月上旬までに今回の第1陣の建設を終えたいと語った。

 さらに4000戸の建設を県に打診しており、最終的な承認を待っている状態だと言う。仮設住宅への入居はニーズに応じて割り振られ、高齢者や子供が優先される見込みだ。

 今回の地震と津波、さらに福島の原発事故による避難者は50万人近くに上っている。陸前高田市では住民の3分の1にあたる約9500人が津波で家を失った。第一中学校で救援活動を組織しているボランティアのナカイ・ツトムさんは、仮設住宅が行き届くには時間がかかるだろうと言う。現在、同校に避難している人は約1000人。自身も家を無くしたナカイさんは、避難所ではみな非常にうまく一緒に生活しているが、全員自分の家が持てたほうがいいだろうと語った。

 最初の仮設住宅200戸を建てている大和ハウス工業(Daiwa House)広報によると、政府から全仮設住宅メーカーに対し、計3万戸の建設要請があった。すべての仮設住宅には、トイレや風呂、暖房、水道など普通の家と同じ設備が備わっている。同社ではプレハブ住宅の建設を増やそうとしているが、被害の規模が大きすぎて困難な作業になっている。(c)AFP/Huw Griffith