【2月28日 AFP】バイオマス(生物資源)燃料の燃焼で排出されるススの粒子や乗り物の排ガスなどを削減すると、気候変動の進行を鈍化させ、健康面でも多くの恩恵をもたらすという報告書を、国連(UN)が23日に発表した。

 これによると、2030年までにこれらの汚染源を除去できれば、今世紀半ばまでに1度と推定されている気温の上昇幅のうち0.5度分を圧縮できるという。また、主要な呼吸器疾患の原因となっているススの粒子がなくなれば、ほぼ即座に健康面に良い影響がでるという。

 報告書は、国連環境計画(UN Environment ProgrammeUNEP)と世界気象機関(World Meteorological OrganizationWMO)の専門家らが執筆。1992年の環境開発会議(地球サミット、リオサミット)から来年で20年になるのを記念して、ケニアの首都ナイロビ(Nairobi)で24日まで開かれていた世界の環境ガバナンス(統治)について協議する会合に集まった世界各国の環境担当相に提出された。

 全32ページのこの報告書は、主要な2つの汚染源に触れている。1つは、木材やバイオマスを燃焼することにより発生するススのような粒子「ブラックカーボン」。もう1つは、乗り物などの排ガスと太陽光との化学反応で発生する「地上オゾン」だ。滞留するブラックカーボンは太陽光を吸収して熱を蓄え、モンスーンなどの気象パターンを変えてしまう可能性もある。

 報告書は、化石燃料燃焼による二酸化炭素の排出削減が急務であることには変わりないものの、ブラックカーボンと地上オゾンの削減は温暖化対策として効果的だと提言した。(c)AFP