【2月24日 AFP】最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の政権に対する抗議デモが続くリビアで、反体制派が同国東部を掌握した模様だ。

 イタリアのフランコ・フラティニ(Franco Frattini)外相は23日、「(東部の)キレナイカ(Cyrenaica)地域はもはやリビア政府の支配下にはない」との認識を示した。外相は、「リビア全土で暴力が起きている」との懸念も示した。

 デモの徹底弾圧で民間人数百人が犠牲になったことに対し、国際社会で批判が高まっている。欧州連合(EU)はカダフィ政権を孤立させるべく、対リビア経済制裁などの準備を進めている。

 リビア在住の外国人が国外へ脱出する動きも加速している。ロンドン(London)のガトウィック空港(Gatwick Airport)にも続々と外国人が降り立ち、首都トリポリ(Tripoli)が戦争状態に陥っている状況を説明した。リビアで教師をしていたというある女性は、「昨晩ほど身の毛のよだつ思いをした夜はなかった」と語った。

■トリポリの通りは人がまばら

 エジプト国境からトブルク(Tobruk)、ベンガジ(Benghazi)に至る東部地域を反体制勢力が掌握したと見られる背景には、政府軍兵士が反体制デモの支持に回っていることが挙げられる。ただしリビア政府は、軍は依然政府の支配下にあると主張している。

 23日、首都トリポリの通りは、カダフィ支持派が細々とデモを行っていたほかは、人がまばらだった。カダフィ大佐は22日に国営テレビを通じて政権を支持する大々的なデモを呼びかけたものの、カダフィ大佐の拠点である緑の広場(Green Square)でのデモをのぞけば、市内で政権を支持するデモに参加したのは数十人程度だった。

 リビア政府は22日、15日に始まったデモによる死者は300人と発表したが、国際人権連盟(International Federation for Human Rights)は23日、死者は少なくとも640人にのぼったとしている。(c)AFP