【2月9日 AFP】池や湖に生息し、交尾なしで繁殖できるミジンコは、ヒトよりも多い生物最多の遺伝子を持っている。ミジンコの全遺伝情報(ゲノム)を解読した米インディアナ大(Indiana University)などの国際研究チームが、3日の米科学誌サイエンス(Science)に論文を発表した。

 遺伝子の数はヒトの約2万3000個に対し、ミジンコは約3万1000個だった。なおミジンコは、甲殻類では初めてゲノムが解読された。

 研究リーダーを務めた米インディアナ大(Indiana University)ゲノミクス・バイオインフォマティクス・センター(Center for Genomics and Bioinformatics)のジョン・コルボーン(John Colbourne)所長によると、ミジンコの遺伝子が多い理由は主に、どの生物よりも速いペースで自らのクローンを作って繁殖する際に、遺伝子の数も倍増していくためだという。

 なおミジンコの遺伝子には、ヒト、昆虫、甲殻類などでこれまでに知られている遺伝子が数多く見つかったが、3分の1以上は未知の遺伝子だった。論文は、新たに発見されたこれらの遺伝子は、環境に適応する上で出現したとしている。

 ある研究者は、ミジンコのゲノムは、環境汚染物質が人間に及ぼす影響を評価する上で手掛かりを与えてくれると見ている。(c)AFP