【2月3日 AFP】ルネサンス期の巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)の名画「モナリザ(Mona Lisa)」のモデルについては諸説あるが、イタリア美術界の謎解きを専門とする研究家らが2日、ついにその正体を突き止めたと発表した―─しかも、モデルは男性だという。

 イタリアの文化財に関する委員会を率いるシルヴァーノ・ヴィンチェッティ(Silvano Vinceti)氏らは、ダ・ヴィンチは自分の弟子で同性の愛人だった可能性のあるサライ(Salai)という人物から大きなインスピレーションを得て、モナリザを描いたと考えている。

 サライは、本名をジャン・ジャコモ・カプロッティ(Gian Giacomo Caprotti)という女性のような風ぼうをした若い画家で、25年間、ダ・ヴィンチの下で働いた。このサライがモデルを務めた作品もあると考えられており、ダ・ヴィンチにとって創作の女神のような存在だったとされる。また2人の関係は「あいまい」で、おそらく愛人だったのではないかとヴィンチェッティ氏は言う。

■両目にヒント、ただしルーブル美術館は否定

 同氏によると、「洗礼者聖ヨハネ(St. John the Baptist)」や「Angel Incarnate(人間の姿をした天使)」などいくつかの作品のモデルと顔の特徴を比べると、モナリザの鼻や口と驚くほど似ている。

 さらにヴィンチェッティ氏のチームは、モデルは誰かを明かすダ・ヴィンチが残したヒントを発見したとしている。それは高解像度でモナリザを複写し、精査してようやく見えたほど小さな文字で、モナリザの左右それぞれの目の中に書かれていたアルファベットのLとSの字だ。ヴィンチェッティ氏は「Lはレオナルド、Sはサライ」だと語っている。

 しかし、モナリザを所蔵している仏パリ(Paris)のルーブル美術館(Louvre Museum)の専門家らは、この発表に対し即座に異を唱えた。

 ルーブル美術館では2004年に「実験室で可能だと思われるあらゆる検査」を行った上、09年にも再度検査したが、「文字や数字などは一切見つからなかった」と断言している。AFPの取材に対しルーブル側は、「長い年月が経って、板に描かれた絵の表面に無数の細かな亀裂が現れている。そうした亀裂の様々な形が時に行き過ぎな解釈を招く」と回答した。

 ヴィンチェッティ氏らは、自説に対する疑念を解くためならば喜んでフランスへ行き、ルーブルと共同でさらなる精査をすると語っている。だが、権威あるルーブル美術館がその説を受け入れるのかどうかは現在のところ不明だ。(c)AFP/Eleanor Ide