【1月23日 AFP】英BBCが前月英国で放送したテレビのコメディークイズ番組「QI」で、広島と長崎で2度被爆し、昨年死去した山口彊(Tsutomu Yamaguchi)さんを「世界一運が悪い男」と紹介した問題で、BBCは22日までに、日本人視聴者に謝罪した。

 山口さんは1945年8月6日、仕事で訪れていた広島で被爆し、重度のやけどを負った。翌日列車で故郷の長崎に帰り、9日に再び被爆した。日本政府が広島と長崎の両方で被爆した人として認識しているのは山口さんただ一人だった。

 番組の司会者、スティーブン・フライ(Stephen Fry)氏は前年93歳で亡くなった山口さんを「世界一運が悪い男」と紹介していた。

■在英日本大使館が抗議

 番組でフライ氏は「この男性は世界で最も運が悪い人、あるいは見方によっては世界で最も運が良い人です」と話すと、コメディアンのアラン・デイヴィス(Alan Davies)氏が「爆弾が頭の上に落ちたけど跳ね返ったってこと?」と述べ、その後「彼は2度とその列車には乗らなかっただろうね」とも話した。

 さらに別のコメディアン、ロブ・ブライドン(Rob Brydon)氏も「コップに水が半分しか入っていないか、半分も入っているか、だね。まぁ放射能だから、どっちにしても飲めないんだけど」と述べた。

 この放送を見た日本人がロンドンの日本大使館に連絡し、BBCに電子メールを送った。BBCはこの番組についての書簡を日本大使館から受け取り、近日中に返事を出すとしている。

 BBCの広報担当者は、「QIは、番組で取り上げる人物やテーマを侮辱する意図は一切ありません。しかし、今回の件は日本の視聴者の皆様にとって敏感なテーマであることから、このテーマをこの番組で取り上げたこと自体が適切でなかったと感じられた理由は理解しています」と述べた。(c)AFP