【1月20日 AFP】訪米中の中国の胡錦濤(Hu Jintao)国家主席とバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は19日、ホワイトハウス(White House)で会談した。両首脳は、人権問題については隔たりがみられたものの、経済や安全保障など国際的な緊急課題で米中がより緊密に協力していくことを確認した。

 会談後の共同記者会見で、オバマ大統領は、世界の主要プレーヤーとしての中国の台頭を歓迎すると述べ、両国が「友好的な競合」の時代を迎えると期待していると語った。その一方で、中国に進出している米国企業に対する公平な扱いを求め、為替問題では中国元は「過小評価されている」との認識を示した。

 さらに、オバマ大統領は、胡主席と人権問題について意見交換したことを明かし、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世の代表団との対話を胡主席に促したと語った。

 これに対し胡主席は、中国における人権は大きく進歩しているとしたうえで、広大な中国の国土には多様な社会が存在し経済発展の度合いも異なると述べ、米国からの人権批判を婉曲にかわした。また、基本的人権は世界共通の価値観であるとのオバマ大統領の認識は共有できないと語った。

 胡主席が自国の人権問題に言及するのは異例のことだ。

 当初、胡主席は人権に関する米国人記者からの質問に答えなかったが、その後、「質問が通訳されなかった」と弁明し質問に答えた。

 中国では、2010年のノーベル平和賞を受賞した民主活動家・劉暁波(Liu Xiaobo)氏が獄中に置かれていることから、前年の平和賞受賞でもあるオバマ大統領には、今回の胡主席との会談で人権問題を取り上げるべきだとのプレッシャーに直面していた。こうしたなかでオバマ大統領は米中会談に先立ち、「中国の政治体制が米国と異なることは承知している」としたうえで、会談の議題から人権問題を避けることはしないと言明していた。(c)AFP/Stephen Collinson

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