【1月6日 AFP】(写真追加)中国初のステルス戦闘機「殲20(J20)」の試作機とされる写真が前週から出回っていることについて、米海軍のデービッド・ドーセット(David Dorsett)情報部長は5日、「現時点では大きな脅威ではない」との見方を示しつつ、中国の軍事開発の急速なペースに米国が驚いていることを認めた。

 ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官の訪中を前に出回った「殲20」の試作機とされる写真は、中国南西部の飛行場で飛行試験後に撮影されたものと伝えられている。

 これについてドーセット部長は、米軍のステルス戦闘機F22ラプター(Raptor)のライバルとなる戦闘機を中国が開発していたことに驚きはなかったと語る一方、「試作機の開発から戦闘環境への統合までには、それなりの時間がかかる」として、中国がステルス戦闘機を実戦配備するのは何年も先になるとの見通しを示した。

 軍事アナリストの間では、中国は他にも、自国の領海をはるかに越えて米海軍艦艇の防御を突破できる弾道ミサイル「東風21(Dongfeng 21)」の新型の開発を進めているとみられている。

 ドーセット部長は記者団に対し、「この種の兵器を開発する中国の能力をわれわれは過小評価していた」と述べた。その上で、中国が単体の兵器システムを開発できることは分かったが、新しい軍事技術を最新の戦闘環境のなかで展開できるようになる時期は不透明だと指摘。むしろ、中国に関してはサイバー戦争と宇宙軍事技術の開発の方を懸念していると述べた。(c)AFP