【1月3日 AFP】エジプト北部アレクサンドリア(Alexandria)で1日、キリスト教の一派コプト教の教会を狙った自爆攻撃とみられる爆発が起きたことを受け、首都カイロ(Cairo)では2日、一部のコプト教徒が暴徒化して弔問に訪れた閣僚の車に投石するなどの騒ぎになった。現地ではコプト教徒とイスラム教徒の暴力的衝突も懸念されている。
 
■首都カイロで荒れるコプト教徒たち

 2日、コプト教の総主教シェヌーダ3世(Shenouda III)がいるカイロのサンマルコ大聖堂(St Mark's Cathedral)にコプト教徒数百人が集まり、弔問に訪れたオスマン・モハメド・オスマン(Osman Mohammed Osman)経済開発相ら政府高官に怒りの声をあげた。その後、シェヌーダ3世との会見を終えた同経済開発相をコプト教徒たちが車まで追いかけて投石した。一部のコプト教徒は聖堂の門の外で待機していた機動隊と衝突した。ある警官によるとこの騒ぎで少なくとも40人の警察官が軽傷を負った。

 その後1000人を超えるコプト教徒が近くの道路にあふれ出し、走ってきた車を止めてボンネットを叩いたり、投石したりした。警察によると外務省や近くの国営テレビ局前にも1000人以上のコプト教徒が集まり、通りがかりの車に投石した。

 前日の1日には爆発が起きた教会があるアレクサンドリアでも、コプト教徒が政府を非難するスローガンを叫びながら警官隊に投石するなど同様の抗議行動を行っており、エジプトでは2日連続の騒ぎとなった。

■「宗教的内戦を避けよ」と現地紙

 事件が起きたアレクサンドリアのコプト教会では2日、犠牲者を悼む礼拝が行われた。爆発では21人が死亡したほか79人が負傷しており、教会の前面には血のりが残っていた。教会の前で爆発事件に抗議していた数百人は、警察に排除されると近くの道路に移動し、路上のごみ箱に火をつけるなどの騒ぎを起こした。

 当局は2日、約20人を拘束して取り調べたが、事件への直接的関与を示す証拠は得られていない。これまでのところアレクサンドリアの爆発に犯行声明は出ていないが、コプト教司祭の妻2人がイスラム教に改宗したと述べたためコプト教会に監禁されたことについて、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)がエジプトのコプト教徒を非難する声明を出している。

 ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領は1日の事件には外国人の犯行であることを示す特徴があると述べた。内相も「外国分子」という言葉を口にし、アルカイダなどのイスラム系武装勢力の犯行との見方を示唆した。

 2日の国営、独立系各紙はイスラム教徒とコプト教徒が対立すれば「内戦」が起こりかねないと警鐘を鳴らした。政府寄りの日刊紙Rose El-Yussefは、「誰かがこの国を爆発させようとしている。宗教的内戦を引き起こそうという謀略が存在することに気づかなければならない」と指摘した。

 またエジプト人口8000万人のうち1割程度を占めるコプト教徒らが自分たちは社会で差別されていると訴えていることから、政府はコプト教徒を取り巻く状況の改善にきちんと取り組むべきだと、エジプト各紙は論じている。(c)AFP/Christophe de Roquefeuil

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