【1月2日 AFP】ブラジル初の女性元首として、ジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)大統領(63)が就任し、ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)前大統領の政策を引き継ぎ、「すべての人のための政治」を行うと誓った。

 ルラ前政権で官房長官を務めたルセフ新大統領は1日、就任式が行われた大統領官邸のバルコニーから、大統領として初の演説を行い、「最も弱い人びとを支え、すべてのブラジル国民のための政治を行う」と述べた。

 首都ブラジリア(Brasilia)で行われた就任パレードには、雨天の中、約7万人が沿道に詰めかけた。途中、雨があがると1952年型ロールスロイス(Rolls-Royce)のオープンカーの屋根が下ろされ、白いスーツを着たルセフ大統領が後部座席から沿道の人びとに手を振って応えた。

 議会での就任演説でも、ルラ前大統領を「偉大な人物」と称えながら、貧困撲滅と経済発展の推進というルラ路線を受け継ぐ考えを再度強調し、「極度の貧困を撲滅する闘いに断固として臨む。わが国はもっと公正な発展国になれるはずだ」と語った。さらに税制改革や環境保護、医療サービス、地域開発などに関する計画の概要を披露するとともに、ブラジル経済を転覆させかねない外国からの「投機」と闘う姿勢を示した。

■難しくなる経済の舵取り

 ブラジルの経済は2010年に7.6%成長した。最近になって石油資源が存在することも分かり、石油輸出国の一角に加わる可能性も見えている。2014年のサッカー・ワールドカップ(W杯)、2016年の五輪開催も決まり、国際的な存在感も増している。

 一方でその経済には影も迫っている。インフレ率は政府の抑制目標を超える5.9%に達したと推定され、さらに上昇を続けるとみられている。2011年の成長率は4.5%に減速すると予測されている。

 公的債務を大幅に削減するという目標は、質・量ともにインフラが不足している現状では各方面から抵抗を受けるのは必至だ。またルラ前政権下の8年間に進行したレアル高は今後も続き、ブラジルの輸出競争力の足かせとなるとみられている。(c)AFP/Marc Burleigh