【12月29日 AFP】韓国・大邸(Daegu)市の小学校で27日、ロボットを使った英語の授業が始まった。

 同市の教育当局者によると、韓国科学技術研究院(Korea Institute of Science and TechnologyKIST)が開発したタマゴのような形をした白い全長1メートルほどのロボット「Engkey(イングキー)」29台が、市内21の小学校に配備されたという。

 顔の部分にはテレビディスプレーがあり、生徒たちに話しかけながら教室内を車輪で移動し、本を読み、音楽にあわせて頭と腕を動かしてダンスをする。

■フィリピンから英語教師が遠隔操作

 ロボットの「顔」のディスプレーには白人女性風のキャラクターが映し出されているが、ロボットを遠隔操作するのはフィリピンにいる英語教師たちだ。英語教師たちは遠隔操作システムを通して生徒の様子を見たり、声を聞いたりすることができる。

 フィリピンの教師たちはカメラの前におり、教師たちの表情が変わるとそれに合わせてディスプレーの女性の顔の表情も変わる。

 韓国科学技術院のサゴン・ソンデ(Sagong Seong-Dae)上級研究員は「教育を受けた経験豊富なフィリピン人の教師たちは、韓国国内も含めてどこよりもはるかに安価に雇用できる」と語る。

■大人にも人気

 読書以外にも、ロボットは歌をうたい、子どもたちとアルファベットを使ったゲームをすることができる。

 大邸市の教育当局者は「ロボットはかわいいし興味深いから、子どもたちも大好きになったようだ。だが子どもたちだけでなく大人たちにも好評だ。実際の人間と話すより、ロボットと話す方が緊張しなくていい、という人もいる」と語り、数台を外国人の英語教師が赴任したがらない遠隔地に送る可能性もあると述べた。

 ロボットはまだ試験段階だが、市当局では、ロボットの価格が下がり操作がもっと簡単になれば本格的に導入することも検討している。

 上述のサゴン氏によると、ロボットの価格は現在1台1000万ウォン(約70万円)で、人間の教員の補助として使われている。しかし、将来的にはもっと大きな役割を果たすようになるだろうと語る。

 特に、語学のスキルアップをしたいけれど、外国人と対面すると緊張するという場合には非常に効果的ではないだろうか、と指摘し、「それに、健康保険はどうなっているのか、とか、病気休暇を取りたいとか解雇手当がどうだとか、3か月勤務しただけで日本でいい仕事がみつかったから辞めるだとか、そういうことを言わない。定期的に修理とアップグレードをするだけでいいのです」とロボットの利点を語った。(c)AFP/Jung Ha-Won