【12月17日 AFP】「良王アンリ」として今でも国民に人気のあるフランス国王アンリ4世(Henri IV、1553-1610)のものとされる頭部について、仏法医学チームが15日、鑑定で本物だと確認されたと発表した。

 アンリ4世は1610年、57歳の時に、狂信的なカトリック教徒にのどを2回切りつけられ、暗殺された。フランス革命中の1793年には2度目の災難に遭う。パリ近郊のサン・ドニ(Saint Denis)大聖堂の墓所から遺体が引きずり出され、バラバラに切断された上で穴に埋められたのだ。

 その後200年間、アンリ4世のものとされる頭蓋骨は、競売にかけられたり個人収集家に収蔵されるなどして、各地を転々としてきた。

 今回、身元が確認されたことで、頭部はあらためて葬儀を行った上でサンドニ大聖堂の墓所に200年以上ぶりに帰る見通しという。

■3D技術で確証を得る

 15日の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)」に発表された論文によると、仏レイモンド・ポアンカレ大学病院(University Hospital Raymond Poincare)の法医学者フィリップ・シャルリエ(Philippe Charlier)氏率いる研究チームは、この切断された頭部に、16世紀に描かれた肖像画と一致する点を2個所見つけた。

 1つ目は、右の小鼻にある全長11ミリのキノコ型をした病変。2つ目は、右耳たぶに開いた耳飾り用の大きな穴だ。

 放射性炭素年代測定法では、1450~1650年の間という結果が出た。アンリ4世が生きていた時代に当てはまる。

 最後の決め手は、3DスキャナーとX線撮影で得られた。それは、あご左側上部の直径5ミリの穴で、1594年の暗殺未遂事件で受けた刺し傷と一致する。首には、暴徒により遺体が切断された際のナイフの跡が3か所残っていた。 

■「墓場のインディー・ジョーンズ」

 なお、シャルリエ氏は「墓場のインディー・ジョーンズ」の異名を持つ。

 これまでに、聖ジャンヌ・ダルク(Saint Joan of Arc)のものとされる骨が実はエジプトのミイラだったことや、サン・ドニ大聖堂の納骨所に保管されていたミイラ化した心臓が、マリー・アントワネットの息子でフランス革命で幽閉されたまま死亡したルイ17世(Louis XVII)のものであること、ナポレオンの死因が毒殺ではなく胃がんであったことなどを明らかにしてきた。(c)AFP

【動画】公開された頭部の映像(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)