【11月26日 AFP】その果物は親指ほどの大きさで、キンカンより小さく、トマトのように滑らかな緑色の皮に包まれている。フランス南部のアドゥール(Adour)川沿い一帯の果樹園で栽培されているこの見慣れない果物はミニキウイだ。

 茶色の皮に包まれた一般的なキウイとは見た目の共通点はほとんどない。皮をむかずにそのまま食べられる。甘味は強い。

 「実を半分に切って中身を見るまで、これがキウイだとは分からないよ」と、欧州でのミニキウイ販売権を持つ農業協同組合SOFRUILEGの新製品開発部門マネジャー、ファビアン・ベック(Fabien Bec)氏は言う。

 ミニキウイは、その革新性が評価されて最近の国際青果物見本市SIFELで賞を受けた。SOFRUILEGではミニキウイの収穫量1万トンを目指し、2016年までにミニキウイの栽培面積を現状の7ヘクタールから500ヘクタールに大幅に拡大する計画だ。ミニキウイの栽培計画はフランス国内にとどまらずオランダ、英イングランド南西部、ポルトガル北部などでもミニキウイの果樹園が計画されている。

■改良で販売向きの品種に
 
 ミニキウイはブルーベリーやラズベリーと同様にプラスチック容器に入れられて店頭に並ぶ。価格は125グラム入りのパックが2~3ユーロ(約220~330円)程度だ。

 ベック氏はミニキウイはサルナシ(Actinidia arguta)の一種で、遺伝子組み換えで人為的に作られたものなどではなく、昔からあった果物だと説明する。

 甘みは強いものの、25年ほど前まではひとつの房に小さな実をたくさんつけることから収穫に手間がかかり、細長い形の実はパック詰めに不向きな上に傷みやすく、販売用の栽培には適さなかったという。ニュージーランドの農食物研究所で改良を重ねた結果、ひとつの房につける実の数が少なく45~90日程度は保存もできる、現在栽培されているミニキウイが誕生した。

■地域経済や環境にも貢献

 栽培農家はミニキウイ栽培は地域経済や、環境面で持続可能な農業にも貢献していると話す。栽培農家の多くがカモを飼育し、キウイとともにトウモロコシも栽培しているからだ。同地域ではリンゴ栽培も盛んだが、市況が悪化していることからミニキウイに切り替える農家も出ている。

 フランスは世界第5位のキウイ生産国で、SOFRUILEGの250軒の果樹園農家は現在、普通のキウイ1万3000トンを生産している。ベック氏によるとこの地域では普通のキウイの栽培に殺虫剤や殺菌剤を使用していない。完全にオーガニックなミニキウイの栽培に着手すると宣言した果樹園もあるという。

 ミニキウイは、仏ボルドー(Bordeaux)で30日から12月2日まで開かれる国際農産物見本市VINITECH-SIFELに出品される予定で、会場では試食もできるという。(c)AFP/Suzanne Mustacich