【11月13日 AFP】ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領は12日、「美人スパイ」として話題になったアンナ・チャップマン(Anna Chapman)さんらロシアの情報機関員ら10人がことし6月に米国で摘発された原因は、ロシア対外情報局(SVR)幹部が米政府に協力したことだったと知っていたと語った。

 11日のロシア有力紙コメルサント(Kommersant)が、SVRの米国部門の責任者だったシチェルバコフ(Shcherbakov)大佐が「二重スパイ」として米側に情報を提供したと報じた。これについて20か国・地域(G20)首脳会議のため訪れた韓国・ソウル(Seoul)で記者団に質問されたメドベージェフ大統領は、「私にとってコメルサントの報道は新しいことではない。それについて私は最初から、あらゆる点についてすべて知っていた」と述べた。

 メドベージェフ大統領はコメルサントの記事の内容について確認はしなかったが、この発言は同大統領が二重スパイについて6月以前に知っていたことを示唆するものだ。ロシア国内ではミハイル・フラトコフ(Mikhail Fradkov)SVR長官の辞任を求める声も出ているが、メドベージェフ大統領は「調査の後にしかるべき結論を出す」と述べるにとどまった。

■「すでに報復命令」との報道も

 コメルサントは情報関係者の話として、シチェルバコフ大佐がこれ以上米国に秘密情報を提供しないよう、ロシアの暗殺部隊に同大佐を捕らえる任務が与えられたとも報じている。これは、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相が7月に帰国した工作員らと歓談した際、「裏切り者は不幸な最期を迎えると決まっている」と語ったこととも付合する。

 しかしロシアのメディアや議員の間には、シチェルバコフ大佐はロシアの情報活動に長期的なダメージを与えており、ロシア政府は強がっているだけだという見方もある。(c)AFP/Anna Smolchenko

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