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最新式「人工眼」が成功、歩き回るほどにも視力回復

2010年11月11日 16:11 発信地:パリ/フランス

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最新式「人工眼」が成功、歩き回るほどにも視力回復
資料写真(2007年8月6日撮影)。(c)AFP/Karen BLEIER
【11月11日 AFP】ドイツの医師チームが3日、網膜下に埋め込む最新式の「人工眼」によって、進行性疾患で中途失明した患者の視力を劇的に回復することに成功したと発表した。

 手術を受けて「人工眼」を装着した被験者3人は全員、物やその形を認識することができるようになり、そのうち1人は部屋の中を歩き回ったり、時計を読んだり、7段階の灰色のグラデーションを見分けることさえもできた。

 学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に発表論文を掲載した同協会は、「電気視覚人工器官における画期的な前進。網膜色素変性によって視力を失った世界の20万人の生活に革命をもたらすだろう」と賞賛した。網膜色素変性は、眼球の後ろの網膜にある光受容器が徐々に機能しなくなる進行性の疾患だ。

 外科分野では過去7年にわたって、人工器官を網膜に埋め込み、眼鏡に装着した極小の外部カメラとつなぐ「人工眼」の開発に取り組んできた。カメラが拾った光をプロセッサ装置を通し、電気信号に変えて人工器官へ送信し、さらに器官から視神経へそのデータを送って脳に映像を見せる仕組みだ。

 今回成功した新たな装置はこれをさらに一歩進めたもので、眼のレンズである水晶体を自然に通過してきた光をとらえる。専門的には「網膜下埋め込み型」と呼ばれ、機能が失われた光受容器の代わりに、1500個の光センサーからなるマイクロチップを網膜の下に装着する方式だ。脳は視神経を通じて38×40ピクセルの極小の映像を受信する。

 論文によると、視力を失っていた被験者3人は、「暗いテーブルに置かれた明るい色のものを見つけることができ、2人は異なる格子柄のパターンを見分けることもできた。その上、1人はフォークやナイフ、果物といった物の名前を挙げて区別することができたほか、幾何学パターンを見分け、さらに15%の濃度差しかない灰色の濃淡を見分けることができた」という。しかも「数年にわたって目が見えなかったにもかかわらず、視力回復後にはトレーニング時間をまったく設けずに、部屋の中を自由に歩き回り、大きな文字であればきちんと単語として読むことができた」という。
 
 この装置はドイツの企業レティナル・インプラント(Retinal Implant)と、同社の共同設立者、エーベルハルト・ズレンナー(Eberhart Zrenner)教授が所属する独テュービンゲン大学(University of Tuebingen)眼科研究所が開発した。ズレンナー教授は、視覚機能を再生する方法の「コンセプトを証明」した研究だと述べている。(c)AFP
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