【11月10日 AFP】キリギリスの一種は、地球上の既知の生物の中では、体重比で最も大きな睾丸(こうがん)を持っているとする論文が10日、英国王立協会(British Royal Society)の専門誌「バイオロジー・レターズ(Biology Letters)」に掲載された。

 論文によると、キリギリスの一種「tuberous bushcricket(学名:Platycleis affinis)」は、体重比13.8%の睾丸1対を持っている。人間で言うなら、タイヤほどの大きさの睾丸、合わせて10キロを、「引きずっている」ことになる。

  一方でこのキリギリスは、射精1回あたりの精子の数が、睾丸が小さいほかの種に比べて少ないことがわかった。このことは、進化理論に興味深い疑問を投げかける。

 一般に、メスが「浮気性」の種ほど、オスの睾丸は大きい傾向にある。この背後には、精子を多く生産するオスほどメスをめぐる争いで有利に立てるという仮定があった。

 では、このキリギリスはなぜ睾丸が大きいのに、精子の数が少ないのか。論文を執筆した英ダービー大(University of Derby)の行動環境学者、Karim Vahed氏は、「精子貯蔵庫(睾丸)が大きいと、比較的少量の精液を多くのメスに送り込むことができ、繁殖成功率を上げることができる。オスは、精子すべてを1つのバスケットにぶちまけているわけではないということだ」としている。(c)AFP