【11月8日 AFP】世界的なすし人気によって、乱獲で絶滅の危機にあるクロマグロの非合法市場が活況を帯びており、関係各国当局も漁業界と癒着している――。「国際調査報道ジャーナリスト連合(International Consortium of Investigative JournalistsICIJ)」の調査で、このような実態が明らかになった。闇市場の規模は数十億ドルに上るという。

 ICIJは、7か月にわたって10か国の漁業実態を調査した。報告書によると、調査対象国の漁業関係者らは、高いクロマグロ需要に応えるため意図的に漁獲枠を無視した漁を続けていた。

■政府「見ぬふり」、拡大続ける闇市場

 最大の消費市場は日本だが、漁獲枠違反が最も横行しているのはフランスで、農業・漁業省とマグロ漁業者が結託して漁獲高を改ざんしているという。

 ICIJによると1998年~2007年に、東大西洋のクロマグロ闇市場は少なくとも40億ドル(約3250億円)規模まで拡大した。この金額は、闇取引されるクロマグロの総漁穫高の見積もりを公式の漁穫枠と比較し、築地市場での売買レートを使って算出したという。

 クロマグロの個体数の激減が表面化したのは07年、仏政府が「大西洋まぐろ類保存国際委員会(International Commission for the Conservation of Atlantic TunasICCAT)」の定めた漁穫枠の2倍近い10万トンものクロマグロを漁穫していると公表したことがきっかけだった。

 保護を求める声の高まりを受け、ICCATは08年、クロマグロ取引を継続的に監視するシステムを新たに導入した。だが、ICIJ報告書によるとこのデータベースは効果がないうえ、マグロ漁業者は監視の薄い大西洋の北アフリカ沖などへ漁場を移動しつつある。

「ICCATの規制はあらゆる点で機能していない。漁船は乱獲を続け、各国政府は見て見ぬふりをしている」と、調査を担当したジャーナリストの1人、ケイト・ウィルソン(Kate Willson)氏は指摘している。(c)AFP