【11月5日 AFP】全米レコード協会(Recording Industry Association of AmericaRIAA)が楽曲ファイルから24曲を違法にダウンロードしていた、米ミネソタ州在住の女性を訴えていた損害賠償請求訴訟で、米連邦陪審は4日、この女性に損害賠償金150万ドル(約1億2000万円)を支払うよう命じる評決を下した。

 4人の子を持つシングルマザーのジェイミー・トーマスラセット(Jammie Thomas-Rasset)被告は、ファイル共有ネットワーク「Kazaa」を介して楽曲ファイル24曲を違法にダウンロードしたとして、全米レコード協会から著作件侵害で訴えられていた。

 陪審員は被告に賠償責任があると判断し、1曲につき6万2500ドル(約500万円)、計150万ドルの支払いを命じる評決を下した。

 RIAAはこの評決を歓迎するとの声明を出した。「被告の違法行為の重大性を認識し、責務を果たしてくれた陪審員に感謝している。3度の評決ですべて被告の法的責任が認められたのだから、被告には責任を受け止めてもらいたい」

 トーマスラセット被告に対する損害賠償金命令は、今回で3度目。2007年10月の裁判では、22万ドル(約1800万円)の支払いを命じる評決が下ったが、判事が「全く公平を欠き過酷」として評決を無効とする判断を下した。その後、09年6月に、1曲につき8万ドル(約650万円)、計192万ドル(約1億5500万円)の支払いを命じる評決が出ていた。

 RIAAや大手レコード会社はこれまでに、音楽を違法にダウンロードし共有した数千人を訴えているが、そのほとんどは3000~5000ドル(約24~40万円)の賠償金支払いで和解している。しかし、トーマスラセット被告はかたくなに和解を拒んでいた。

 RIAAは03年以降に3万5000人を提訴したが、08年12月、今後は訴訟は行わず、インターネットサービスプロバイダーに対策を取ってもらうことに集中すると発表し、著作権侵害に対する戦略で大きな方向転換を図った。(c)AFP

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