【10月26日 AFP】ナマケモノの首がなぜ長いのかを解明したとする論文が、25日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 ほ乳類の世界では、ネズミからキリンまで、ほとんどの動物の首には7個の椎(つい)骨がある。だがナマケモノには10個の椎骨があるものもいるため、科学者らは長らくその謎に頭を悩ませてきた。 

 だが英ケンブリッジ大(University of Cambridge)の研究チームは、その答えを見つけたと確信している。

 ナマケモノの脊(せき)柱の発達を分析した研究チームは、驚くべき発見をした。これまでナマケモノの胸郭の一部と考えられてきた骨格部分が、ほ乳類の「首」の底部と類似していたのだ。

 言い換えれば、ナマケモノの首の底部の椎骨は、発達の仕方が、ほかのほ乳類の胸郭上部の椎骨と似ていた。ナマケモノの場合、首の底部は「肋骨(ろっこつ)のない胸郭」であり、ほかのほ乳類同様、胸郭は8個目の椎骨から始まっていることが明らかになった。

 また、脊柱内の骨形成の位置を観察したところ、ナマケモノを含むすべてのほ乳類で、上から数えて8個目の椎骨から下の発達時期が類似していることがわかった。

 研究チームは、これらの結果は、肢帯(脊椎動物の骨格の一部で、四肢を脊柱に結合する役目を果たす)と少なくとも胸郭の一部が、椎骨とは異なる胚組織から派生したこと、これらの部位が進化の過程で脊柱に対して互いに呼応するように移動したことを示しているとしている。

 ナマケモノの肩と骨盤と胸郭の位置は連動しており、ほかのほ乳類との共通祖先よりは脊柱が下がって首が見かけ上長くなったという。(c)AFP