【10月21日 AFP】「ヒョウ柄」はいかにして生まれたのだろうか?

 英国の作家、ラドヤード・キプリング(Rudyard Kipling)は、その童話の中で、ヒョウを「灰黄色の毛に覆われ、見た目はネコのような動物」と表現した。

 キプリングはこう書いた。昔々、一緒に狩りをしていたヒョウとエチオピア人がいたが、まったく獲物を取れなくなってしまい、賢者に相談した。その後、キリンやシマウマの模様を見て賢者の言葉の真の意味を理解したエチオピア人が、ヒョウの体に斑点を描いてくれたのだと。斑点のおかげで、石ころだらけの平原や日が当たってまだら模様を作った木々の下に容易に姿を隠せるようになったのだ、と。

 英ブリストル大(University of Bristol)のウィル・アレン(Will Allen)教授(実験心理学)率いる研究チームは、大型ネコ科動物のしま模様や斑点が生息環境にいかに都合がいいかを分析した論文を20日の英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に発表した。

 研究チームは、ヤマネコからウンピョウまでのネコ科動物37種について、写真をもとに模様の複雑度を数式に変換した。

 次に、それぞれの数式を、生息環境(サバンナ、森林、山地など)と習性(狩りを日中行うか、夜行うかなど)に関するデータと照合した。

■しま模様も環境に適応

 その結果、森林などの閉鎖された環境に住んでいるネコ科動物は、開けた場所のネコ科動物に比べてしま模様の頻度がはるかに高く、不規則で複雑な模様である場合が多かった。

 不規則で複雑な模様は、密度の高い熱帯雨林では良いカモフラージュになる。夜行性で、樹上で過ごす時間が長いジャガーのような動物には特に適している。

 だが、1つ謎が残る。トラのような気の利いたしま模様は、なぜ、森林に生息するネコ科動物の間でそれほど広まっていないのだろうか。

 ピューマなど開けた場所に暮らすネコ科動物には模様がない場合が多い。一方ヒョウは、キプリングが指摘したように、開けた場所と閉鎖された空間の中間に生息する。シンプルで規則的な斑点は、狩り場となるサバンナの草地や岩場、寝床となる木の枝で、完璧なカモフラージュとなる。

 ネコ科動物の進化の歴史から見ると、しま模様は数千年にもわたる環境への適応の過程で、出現または消滅したと考えられる。アレン教授は、「ネコ科動物はさまざまな生息環境のすき間に急速に進出していった。多くの場合、模様も(生息環境に)適応していった」と話した。(c)AFP