【10月14日 AFP】階段の上や山の頂上では加齢が早まるが、車に乗っている間は加齢が遅くなる。こうした論文が前月24日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 アインシュタイン(Albert Einstein)の一般相対性理論によると、高度が高いほど時間は速く進み、移動速度が速いほど時間は遅く進む。

 数十年前、原子時計を使った実験で、この理論の基本前提が正しいことが証明された。原子時計をロケットで宇宙空間に送り、地上の原子時計と比較した。すると、時間の進み方は、重力の影響を受けた地上の方が遅かった。

 今回、米国立標準・技術研究所(National Institute of Standards and TechnologyNIST)は、日常生活で最も小さな段差と言える階段程度の高さを対象に、この理論を立証した。階段2段分(約33センチ)高くなっただけで加齢速度がいかに早まるかを示したのだ。

 研究チームは、「量子論理時計」と名付けた原子時計を2台用意した。この時計は、レーザー光を使って、帯電したアルミニウムイオンの1秒間の振動を測定する。極めて高精細のため、かすかな相対論効果であっても検出可能だ。

 上下2段に1台ずつ置いたところ、差は限りなくゼロに近いとは言え、階段を2段上ると、79歳の寿命の場合で1秒の900億分の1ほど加齢することが示された。

 研究チームは、相対性理論の「移動速度が速いほど時間は遅く進む」点についても実験した。すると、時速約32キロの自動車の中で、効果が確認された。(c)AFP