【10月12日 AFP】ハンガリー西部でアルミニウム工場の貯水池から有害な廃液が流出した事故で、捜査当局は11日、工場の運営会社の経営者を逮捕したと発表した。

 逮捕されたのはMAL Hungarian Aluminium Production and Tradeの経営者、ゾルターン・バコニ(Zoltan Bakonyi)容疑者で、現在、警察が有害な廃液が流出するに至った経緯について取り調べている。

 だがMALは、同社のウェブサイトで「当社は厳密に技術的な規制を順守している」との声明を発表。303億フォリント(約126億円)を投じて、貯水池の修理・保全を実施していたと主張し、廃液が貯水池の許容量を越えていた可能性があったとの疑惑を否定した。

 1995年に設立されたMAL社は、年間1億5700万ユーロ(約178億円)の収益をあげており、2008年には71万5000ユーロ(約8120万円)の利益を出している。MAL社の所有者3人の個人資産は6100万ユーロ(約69億円)~8500万ユーロ(約97億円)で、いずれもハンガリーの長者番付100人に名を連ねる富豪だという。

 一方、ハンガリー通信(MTI)は同日、地域災害対策責任者の話として、最後まで行方が分からなかった1人が遺体で見つかり、廃液流出事故による死者数は8人となったと報じた。ハンガリー史上、最悪の被害をもたらした事故から一週間が過ぎたが、依然として45人が入院しており、うち2人は重体となっている。(c)AFP/Geza Molnar