【10月3日 AFP】イスラム教国リビアにキリスト教関連の書籍などを持ち込み、宗教法に違反したとして6月に逮捕された宣教師ら韓国人男性2人が2日夜、釈放された。

 3日の韓国外交通商省の情報によると、拘束されていた2人の身柄は、在リビア韓国大使館職員の立会いのもと、それぞれの家族に引き渡された。

 韓国人宣教師は6月、布教目的でキリスト教関連の本などをリビアに持ち込んだとして逮捕された。もう1人の韓国人男性は1か月後、宣教師の宗教活動に資金援助したとして逮捕された。

 韓国とリビアの関係は6月に、リビアの最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐とその家族、政府高官の身辺情報を収集しようとしたとして、韓国の情報員をリビアが国外追放したことで悪化していた。このとき、リビアは韓国の首都ソウル(Seoul)にある実質上の外交窓口の業務を停止したため、商用でリビアへ入国したい韓国人は、韓国外のリビア大使館へ行かねばならない事態となっていた。その後発生した宣教師ら韓国人2人の逮捕が韓国で大きく報道されたことで、両国間の緊張がますます高まっていた。

 しかし、韓国の李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)大統領の実兄、李相得(イ・サンドゥク、Lee Sang-Deuk)議員がリビアを訪問し、両国は数か月にわたった不和状態に終止符を打つことで合意した。

 李議員と30日に会談したカダフィ大佐は、「味の悪い」いざこざは止めて、韓国との友好関係を拡大したいと述べたと言う。また韓国・聯合(Yonhap)ニュースは、韓国企業がリビアで活動するうえでカダフィ大佐が力を貸すと約束したと報じた。

 韓国とリビアは1980年に国交を正常化し、今回の事件までは強固な経済関係を築いてきた。韓国側の統計によると、1978年以降、韓国企業はリビアで総額350億ドル(約3兆円)に上る300近い建設プロジェクトを手がけてきた。(c)AFP