【9月23日 AFP】(一部更新)米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は23日、東シナ海(East China Sea)の尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島)付近で起きた中国トロール漁船と海上保安庁巡視船との衝突事件をめぐり、中国が日本へのレアアース(希土類)の輸出を全面的に禁止したと報じた。

 NYT紙は、業界関係者の話として、中国がレアアースの輸出をすべて停止したと伝えた。

 一方、中国商務省はこの報道内容を否定。同省担当官はAFPの取材に対し、「そのような事実はない」「NYT紙がどこから情報を得たのかわからない。すべて通常通りに行われている」などとコメントした。

 7日に起きたトロール船と巡視船との衝突事件以降、日本と中国の外交関係は過去数年間で最悪の状態になっている。

 中国の温家宝(Wen Jiabao)首相は22日、訪問先のニューヨーク(New York)で、日本がトロール船の船長を「即時無条件」で釈放しなければ「さらなる措置」を取ると警告した。

 国連総会(UN General Assembly)のためやはりニューヨーク入りしている前原誠司(Seiji Maehara)外相は、東シナ海に眠っているとされるガス田に近い尖閣諸島への中国の領有権主張を否定し、「領土問題は存在しない」と改めて強調した。

 レアアースはiPodなどの電気製品や電気自動車、ミサイルなど幅広い製品の製造に不可欠な資源で、中国が世界の供給量の95%以上を占めている。中国は先にレアアースの輸出規制をしており、このためレアアースの市場価格が急騰して各国政府や企業が懸念を表明していた。(c)AFP