【8月29日 AFP】(写真追加、一部更新)インドネシア、スマトラ島北部のシナブン(Sinabung)山(2460メートル)が29日、400年ぶりに噴火し、当局者によると近隣6キロメートル以内の住民1万8000人以上が避難した。

 インドネシアの火山災害警戒センター長はAFPに「明らかに危険な状況なので、警戒を最高レベル(レッド)に引き上げた」と語った。シナブン山は400年以上にわたって噴火していなかったが、27日から火山活動がみられていた。火山灰は火口から半径30キロの範囲に広がっているが、現在のところ空の便に影響は出ていない。

 防災当局の報道官は、避難した人の大半は農民で、野菜畑に火山灰が積もったと話していると述べた。火山のふもとにある4つの村では、噴火が始まった直後、避難指示を待たずに避難を始めた人も多かったという。調査のため救助隊がすでに現地に向けて出発している。また避難した人のためのテントと食料の準備も進められている。シナブン山一帯は、鼻をつく硫黄の臭いと濃い噴煙で覆われているという。

 これまでに噴火が直接の原因となって死亡した人の報告はないが、多くの人が呼吸が苦しいと訴えている。現地のメディアは、住んでいた村を離れて避難する途中だった男性が呼吸困難で死亡したと報じたが、防災当局の報道官は、この男性は心臓に持病があり、火山灰で呼吸器の状態が悪化して亡くなった可能性があると話している。

 インドネシアでは今月に入って北スラウェシ(North Sulawesi)州シアウ(Siau)島のカランゲタン(Karangetang)山(1784メートル)が噴火し、4人が行方不明になっている。また、5月にはロンボク(Lombok)島のバルジャリ(Baru Jari)山の噴火で上空1500メートルの高さまで火山灰や溶岩が噴出し、死傷者は出なかったものの、作物に被害が出た。(c)AFP/Arlina Arshad