【8月24日 AFP】ワシントンD.C.(Washington D.C.)の連邦地裁は23日、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が解禁した胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究への政府助成について、仮差し止め命令を出した。

 オバマ大統領は2009年3月、ES細胞研究への連邦政府予算の支出を認める大統領令に署名した。ES細胞を使えばアルツハイマー病、パーキンソン病、糖尿病などの難しい病気も治療できると考えている研究者らは、これを歓迎した。

 だがキリスト教系団体などは、ヒト胚を破壊または破棄する研究への政府助成を禁じる法律に違反するとして、仮差し止めを求める訴えを起こした。

 一方、オバマ政権は、研究では体外受精で使われなかったヒト胚を使うため、研究そのもののためにヒト胚が破壊または破棄されることはないと反論していた。

 連邦地裁のロイス・ランバース(Royce Lamberth)判事は、原告の訴えを認めた。研究に支障をきたすという研究者の主張に対しては、「ES細胞がアルツハイマー病やパーキンソン病を治療できるとの確証はなく、したがって支障が出るというのは推論でしかない」と述べた。また、研究者は民間から資金を募ることができるとし、「研究者たたき」の批判を否定した。

 司法省は、「裁判所の判断を精査しているところだ」とのコメントを出した。(c)AFP