【8月16日 AFP】スリランカ南部ハンバントタ(Hambantota)で15日、中国の支援を受け総工費15億ドル(約1300億円)をかけて建設中の港湾施設の一部が完成し、記念式典が開かれた。同港をめぐってはスリランカの隣国で最大の貿易相手国であるインドが、中国の影響力拡大に懸念を強めている。

 ハンバントタ港は古代の交易路「シルクロード」の海路上にあり、現在も世界で最も往来の多い航路の1つに位置する。数十年におよんだ民族対立からの復興を目指すスリランカをけん引する経済効果が期待されている。

 中国はハンバントタ以外にもバングラデシュやミャンマー、パキスタンなどで港湾施設の開発を支援しており、ネパールとスリランカでは鉄道開発を計画中だ。

 こうしたことからインドは、「真珠の数珠」のようにインドを包囲しようとする中国の戦略の一環だとして、ハンバントタの港湾施設に警戒感を表明。「中国の行動をインドの歴史的な影響地域への侵入とみなし、戦略的に重要なインフラ開発計画で中国と競争して受注を勝ち取ろうとしている」と、地政学的リスク分析専門のコンサルティング会社「ユーラシア・グループ(Eurasia Group)」のアジア地区アナリストは指摘している。(c)AFP

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