【7月14日 AFP】13日に300人が一斉摘発されたイタリアの犯罪組織「ヌドランゲタ(Ndrangheta)」は、拠点とする伊南部カラブリア(Calabria)州から欧州北部・西部から米国、オーストラリアにまで及ぶ、広大な国際犯罪ネットワークを張りめぐらせている。

 近年になってヌドランゲタは「合法」ビジネスを隠れみのとしてきた。13日の摘発対象となったのはイタリアの健康業界だ。

 イタリアの4大マフィア組織の中でもヌドランゲタは、南部シチリア(Sicily)の「コーザ・ノストラ(Cosa Nostra)」などと比べても、血族や仲間うちの関係に基づいた組織構成が強力で、内部に入り込むことも、その動きを予測することもいっそう難しいとされる。組織名はギリシャ語で「勇気」や「忠誠心」を表す。

 2007年のある内務省報告は、ヌドランゲタが世界で最も危険な犯罪組織のひとつだと指摘している。

 マフィア取り締まり担当の司法関係者らによると、ヌドランゲタのルーツは、リーダーたちの故郷でイタリアの中でも貧しいカラブリア州ではあるが、1970~80年にかけて組織の資金的な拠点を裕福な都市ミラノ(Milan)に移した。

 またこの時期、身代金狙いの誘拐によってその資金をさらに蓄え、国際ドラッグ市場に手を出せるまでに成長した。コロンビアのドラッグ取引業者に顔が利く組織は、ヌドランゲタのほかにはないと言う警察関係者もいる。

 当局の追跡で明らかになっている活動の範囲はオーストラリア、カナダ、スイス、スペインとまさに世界を股にかけている。カラブリア州のGiuseppe Pignatone判事は、「ドラッグ市場におけるヌドランゲタの独占的な位置は、その世界規模のネットワークのおかげだ。特に欧州北部の活動がカギになっている」と言う。

 ドラッグや武器の取引、売春ビジネス、恐喝といった「本業」の犯罪活動で地固めした後、組織は表のビジネスに躍り出た。欧州北部での企業経営、特に建設業界だ。これにより入札を通じて、公共セクターに影響力を行使するようになった。

 イタリアの調査機関エウリスペス(Eurispes)の2008年の報告は、ヌドランゲタの運転資金は440億ユーロ(約5兆円)にも上ると推計している。(c)AFP

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