【6月10日 AFP】(一部更新、写真追加)韓国の安秉萬(アン・ビョンマン、Ahn Byong-Man)教育科学技術相は10日、全羅南(Jeollanam)道高興(Goheung)郡の羅老宇宙センター(Naro Space Center)から打ち上げられたロケット「羅老(Naro)」は、打ち上げから137秒後に爆発したとみられると発表した。

 午後5時1分(日本時間同)にロケットが打ち上げられると、見守っていた人びとは国旗を振り、ダンスを踊って喜びを表現したが、その137秒後に高度70キロでロケットとの通信が途絶した。安教育科学相によると、羅老の先端に取り付けられていたカメラは明るいせん光を捉えたという。現在、韓国とロシアの技術者が打ち上げ失敗の原因を調べている。

 搭載されていた科学衛星は高度302キロでロケットから切り離され、打ち上げから約9分後に太陽電池を開く予定だった。打ち上げは当初9日の予定だったが、発射台の消火設備から消化液が噴出したため10日に延期されていた。

■国家の威信がかかる宇宙開発

 韓国航空宇宙研究院(Korea Aerospace Research Institute)の李柱鎮(イ・ジュジン、Lee Joo-Jin)院長は、ロケットの爆発と消火設備のトラブルは無関係だと語った。また李院長は、データは打ち上げ直後の飛行は正常だったことを示しており、ロシアと韓国が合同で原因を調査することになるだろうと述べた。

 韓国は国内で組み立てたロケットで人工衛星を軌道に送る世界で10番目の国になることを目指しているが。前年8月の最初の挑戦ではロケットのノーズコーンのフェアリングが正常に開かず、衛星の軌道投入に失敗していた。

 韓国は5000億ウォン(約365億円)を費やした羅老に国家のプライドをかけていた。液体燃料を使用する第1段ロケットはロシア製だが、第2段と積んでいた衛星は韓国製だ。

 アジアの経済で大きな存在感を示す韓国だが宇宙開発の歴史は比較的浅い。これまでに外国製ロケットを使って10の人工衛星を軌道に投入してきた。2007年11月には、2020年までに月周回衛星を送り、その5年後に月面探査機を送るという計画を発表したが、その1か月前には中国が、2か月前には日本がそれぞれの国で初の月周回衛星を打ち上げている。2008年4月にはロシアのソユーズ(Soyuz)で韓国初の宇宙飛行士を宇宙に送った。

 安教育科学技術相は、ロシアと韓国の間で結ばれた契約の一部を紹介して、3度目の打ち上げについてロシアとの間で交渉が行われていると述べた。(c)AFP

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