【5月6日 AFP】カナダ・アルバータ(Alberta)州にあるウッド・バッファロー国立公園(Wood Buffalo National Park)の南端部で、ビーバーが作った世界最大のダムが発見された。長さは約850メートル。あまりに巨大なため、宇宙からも見えるという。

 このダムを発見したのはカナダ人環境活動家のJean Thie氏で、衛星写真とグーグル・アース(Google Earth)でダムの位置を特定したことを5日、明らかにした。

■70年代から建設か

 ダムはフォート・マクマレー(Fort McMurray)の北東約190キロの、人間が入ることが難しい湿地帯にある。最初に確認されたのは2007年10月だが、ビーバーによる建設が始まったのは1970年代半ばとみられている。Thie氏によると、90年代から米航空宇宙局(NASA)の衛星写真にも写っているという。

 オタワ(Ottawa)でAFPの取材に応じたThie氏は、「何世代かにわたって建設してきたもので、現在も拡張を続けている」と説明した。

 国立公園の広報担当者によると、前年、公園のレンジャーたちがヘリで上空からダムを観察したところ、ダムそのものに広範囲にわたって草木が生育しているのを確認した。これは非常に古くからダムが存在していたことを示しているという。

■将来的にさらに巨大化も

 Thie氏は最近、メインのダムの両側に小さなダムが出現していることを発見しており、10年以内にもこれら3つのダムが結合し、長さ1キロ近い巨大ダムが出現する可能性があると指摘した。この地域は平たんな地形をしており、ビーバーは湿地帯からの水の流出を防ぐために巨大なダムを作る必要があるのだという。

 カナダのビーバーが作るダムの平均的な大きさは、長さ10~100メートルで、ごくまれに500メートルのダムを作る場合があるという。これまでの世界記録は、米モンタナ(Montana)州スリーフォークス(Three Forks)にあるダムで、長さ652メートルだった。(c)AFP