【4月21日 AFP】良いニュースと悪いニュースがある。良いニュースは、男性は生涯で最大2回までセックスをしてもよい。こんなことが良いニュースなら、悪いニュースとは?――セックスに10秒以上かかってしまったら、相手に食べられてしまう。

 これは、コガネグモの雄が実際に直面している問題だ。欧州では丸いクモの巣とともによく見かけるコガネグモだが、実は性的共食いの習性がある。

 コガネグモの雄は触肢という生殖器官を1組だけ持つが、1回の生殖行為に触肢1本が必要であるため、最大2回しか交尾をできないことになる。コガネグモの雌は、交尾が10秒以上かかると、自分よりもはるかに小さい雄を食べてしまう。

 こうしたことから、コガネグモの雄は貴重な精子を使うに値する最適の雌を選ぶ必要がある。ではどうやって選ぶのか。

 独ハンブルク(Hamburg)にある動物学研究所(Zoological Institute)のクラース・ウェルケ(Klaas Welke)、ユタ・シュナイダー(Jutta Schneider)の両氏が21日、この問題について、英国王立協会(Royal Society)の専門誌「バイオロジー・レターズ(Biology Letters)」に研究結果を発表した。

 問題を解明するため、ウェルケ、シュナイダー両氏は、コガネグモを卵から成体になるまで生育し、生殖行為を行っていないクモのみを使って実験を行った。

 実験では、雄にそれぞれ、血縁関係のある雌または血縁関係のない雌とペアを組ませた。その結果、血縁関係にある雌とペアを組んだ雄は、交尾を短時間で終え、共食いを避けた結果となった。

 一方、血縁関係のない雌とのペアは、交尾に時間がかかり、雌に食べられることとなった。この結果、雄がその後、血縁関係にある雌と交尾することがなくなるため、近親交配のリスクがなくなることになる。

 つまり、コガネグモは、健康で生存率が高い子孫を残すために、性的共食いを行っていることが明らかになった。(c)AFP