【3月30日 AFP】夜行性のコウモリが闇の中、日没時の太陽の位置を頼りに巣に帰っていることを突き止めたドイツの科学者らによる研究結果が、29日に発表された。

 これまでの研究で、コウモリは磁場で方角を見定めていることが分かっているが、独マックス・プランク天体物理学研究所(Max Planck Institute for Astrophysics)の研究チームは、なじみのない場所にホオヒゲコウモリを放置した場合と磁場を狂わせた場合で、それぞれコウモリが巣に戻れるか確認する実験を行った。

 実験ではまず、捕獲したコウモリたちに小型無線送信機を装着。巣から最大で25キロ離れた場所に放して、コウモリを追跡した。その結果、巣から1~3キロの場所で放たれたグループでは、大半が巣の方角に向かった。早いものは2時間以内で巣に戻ることができたという。
 
 この謎を解明しようと、研究チームは、鳥類と同様にコウモリも地球の磁場をコンパス代わりとして、太陽に対する方角を較正しているとの仮説をテストすることにした。

 そこで、太陽が完全に沈んだあとで、均等な磁界を発生させるヘルムホルツコイルを使い、磁場を北から東へずらしたところ、半数のコウモリたちがこの影響を受けつつも、対照群と同じ方角、つまり巣の方角に向かって飛んだ。

 次に、太陽が沈みかけている時間帯に磁場を変更すると、コウモリたちは通常の帰路コースを外れ、巣のある南ではなく東の方角へ向かった。

 また、コウモリの飛行パターンを観察することで、研究チームは日没から1時間後であっても太陽が沈んだ位置を確認することができたという。

 こうした結果から研究チームは、おそらくコウモリたちは、太陽が常に西に沈むことを知っており、日没時における太陽の位置を最も信頼性のある方向指示器として活用していると結論付けた。一方、地球の磁場は鉄鉱床に影響されやすく、あまり信頼性は高くないという。(c)AFP