【3月28日 AFP】米国務省の法律顧問、ハロルド・コー(Harold Koh)氏は25日、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)やアフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)に対して米国が行ってきた無人機による攻撃は、国際法上の「自衛措置」にあたるとの見解を示した。米政府当局者が無人機による攻撃の法的根拠を示したのは初めて。

 アメリカ国際法学会(American Society of International Law)の年次総会で演説したコー氏は、2001年の米国同時多発テロの結果、米国はアルカイダやタリバン、そこにつながる勢力と「交戦状態」にあり、「国際法における国家固有の自衛の権利に従って、武力行使が可能である」と主張した。

 さらに無人機による攻撃の標的はアルカイダやタリバンなどの軍事目標に限定されており、民間人の犠牲を最小限に抑えつつ、反撃は受けた攻撃に見合った程度にとどめる「均衡性原則」を守るよう細心の注意を払っていると述べた。

■求められる情報公開

 バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の政権は、パキスタンやソマリアなどにおける米中央情報局(CIA)の作戦で無人機の利用を急拡大させてきたが、詳しい情報は公表していない。人権団体からは無人機による攻撃は国際法などに違反する殺人だという批判があがっている。無人機の攻撃で多数の死傷者が出ていることは、パキスタンで国民の怒りと反米感情をあおる一因となっている。

 一部の人権擁護活動家や法律専門家は、パキスタンなどにおいて、従来の考え方では戦闘地域とみなされないような場所で実行される無人機による攻撃は、米国の国内法および国際法のどちらにも違反していると主張している。

 情報公開法の下で、無人機を使った攻撃の法的根拠を示すよう米政府に求める訴訟を最近起こした米国自由人権協会(American Civil Liberties UnionACLU)はコー氏の発言を歓迎している。ACLUは無人機による攻撃が承認される条件(時機、場所、目標)と、これまでに無人機の攻撃に巻き込まれて死亡した民間人の数などの開示を求めている。ACLUの法律専門家はさらなる情報公開を望むと談話を発表した。

 23日に行われた米議会の公聴会では、無人機による攻撃について公開しなければ、作戦に関わるCIA要員が他国で訴追される危険が増えるという観点から、アメリカン大学(American University)の法学部教授が政府に情報公開を迫った。(c)AFP/Dan De Luce