【3月26日 AFP】渡り鳥は毎年、冬に備えて南方へ飛び立つ前に、抗酸化物質を多く含む高栄養な果実を選んで大量に摂取しているとした研究結果が、米サンフランシスコ(San Francisco)で24日に開かれた米国化学会(American Chemical Society)の会議で発表された。

 米ロードアイランド大学(University of Rhode Island)のナビンドラ・セーラム(Navindra Seeram)氏率いる研究チームは、大西洋を横断する渡り鳥の重要な中継地となっているブロック島(Block Island)とロード島(Rhode Island)で、アローウッド、モチノキ、ヤマモモなど、渡り鳥が摂取する果実12種類のサンプルを収集。果実が最も熟した状態で抗酸化物質と植物色素の濃度を測定した。

 その結果、渡り鳥がよく好むアローウッドで、抗酸化物質と植物色素の濃度が最も高いことが分かった。研究対象となった他の果実と比較して、アローウッドは抗酸化物質が平均で150%増、植物色素は650%も多かった。

 さらに、1日で自分の体重の3倍もの果実を消費する渡り鳥がいることも分かった。これは人間に例えると、150キロもの食料を摂取している計算だ。

 セーラム氏は、人間の健康維持にも欠かせない栄養素である抗酸化物質を多く含む果実を選んで摂取することで、渡り鳥は過酷な長距離移動に耐えうる体力をつけていると指摘している。

 また、渡り鳥が摂取する果実にとっても、種子が遠方まで運ばれるという利点があることから、渡り鳥と果実は相互依存関係にあるのだという。(c)AFP