【3月22日 AFP】喫煙経験がないにもかかわらず肺がんにかかる場合があるのはなぜか――。この疑問をDNAコードの分析によって解明できる可能性があるとする米研究チームの論文が、英医学誌「ランセット・オンコロジー(Lancet Oncology)」(電子版)に22日、発表した。

 一般に肺がんは喫煙者のかかる病気と考えられているが、全世界の肺がん患者の約1割はタバコを1本も吸ったことがないか、生涯に吸う本数が100本程度の非常習喫煙者だ。非喫煙者の肺がん発症率は、特にアジアでは30~40%と非常に高い。また、世界的に見て非喫煙者のがん患者のうち65%が女性となっている。

 しかし、これまでの肺がん研究は喫煙者を対象としたものが中心で、非喫煙者の肺がん問題は見過ごされがちだった。

■第13染色体の遺伝子変異でリスク60%増

 ミネソタ(Minnesota)州メイヨー医科大学(Mayo Clinic College of Medicine)で遺伝子研究に取り組むピン・ヤン(Ping Yang)博士が主導する研究チームは今回、肺がん患者を含む非喫煙者754人の遺伝子を調査し、第13染色体に2つの遺伝的変異が肺がんリスクを60%近く高めることを突き止めた。

 これらの遺伝的変異は、細胞増殖の鍵となるタンパク質「グリピカン(GPC)5」のレベルを抑制するとみられている。

 もっとも、非喫煙者が肺がんを発症する決定的な要因の解明にはさらなる研究が必要だ。遺伝的脆弱性を持つ人が肺がんを発症する誘因は不明で、受動喫煙や環境汚染物質、ヒ素、ヒトパピローマ・ウイルスなどの可能性が指摘されている。(c)AFP