【3月16日 AFP】ヘビが暗闇の中で遠くのネズミの発するわずかな体温を正確に察知するメカニズムが初めて解明され、14日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 ガラガラヘビ、ボア、ニシキヘビなどのヘビには、目と鼻の間に「ピット器官」と呼ばれる器官があり、この器官が周囲の微弱な赤外線放射、つまり熱を感知することができることは、数十年前から知られていた。

 ピット器官を持つヘビの中でも、メキシコ北部と米国南西部に生息するニシダイヤガラガラヘビ(Crotalus atrox)は非常に高い能力を備えており、ほかのヘビと比較して10倍以上の熱感知能力がある。ニシダイヤガラガラヘビは、目を覆われていても獲物を狙って追跡し、捕食することができる。

 しかし、これまで、これらのヘビが熱を感知して神経信号に変換する方法は謎とされ、多くの議論が交わされてきた。

 今回研究を発表したのは、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California in San FranciscoUCSF)の分子生物学者、デービッド・ジュリアス(David Julius)氏らの研究チーム。研究室の実験で、視覚とは異なった神経経路にもとづいてヘビが「第6感」を働かせていることをつきとめた。

■視覚よりも触覚に近い

 ジュリアス氏は、AFPの電話取材に対し、「赤外線放射はピット器官で熱として感知されている。われわれは関係する分子をつきとめた」と述べた。

 赤外線がくぼみ状のピット器官内に入り込むと、ピット器官の中にある、非常に薄い皮膜の温度が上がる。ピット器官は空洞のくぼみなので、温度変化に極めて敏感なのだという。この熱の変化が神経系に信号を発信し、ある特定の受容体を活性化させるのだ。

 この熱感知に関与する神経経路は、視覚よりも触覚に近いものだという。ジュリアス氏は、「われわれが発見した分子は、ほ乳類が痛みを感知する受容体と同系統のもの」と説明した。ヒトでこの神経経路に対応するのは、わさびなどの刺激を感知する「ワサビ受容体」と呼ばれるものなのだという。

 今回の発見は、1億年以上前から地球上に生息しているヘビの進化の過程を明らかにする可能性もある。また、別々の環境に生息していたは虫類が、自然淘汰の力により同様の熱感知メカニズムを獲得したことも示唆されている。

 ボアやニシキヘビとは異なり、ガラガラヘビなどは、比較的新しい種であることから、独自に同じ能力を獲得したのではないかとみられている。「ランダムな突然変異の結果、一度ならず同じような機能が生み出されたということは驚くべきことだ」と、ジュリアス氏は語った。(c)AFP/Marlowe Hood