【3月10日 AFP】国連(UN)のマーティン・シェイニン(Martin Scheinin)人権問題特別調査官は9日、空港でのセキュリティチェックのために全身透視スキャナーを使用することは、防止策として効果が薄い上にプライバシーに踏み込みすぎだと述べ、個人の権利の侵害だとの見解を示した。

 5年前にテロ対策が個人の自由に与える影響について調査を行うため任命されたシェイニン氏は、国連人権理事会(UN Human Rights Council)に対し、探知技術の向上が人権にとって望ましいと報告した。

 シェイニン氏は、「プライバシーに対する影響を最小限にする取り組みがなされなければ、全身透視スキャナーはプライバシーへの過剰な侵害となる」と指摘。こうした取り組みとして、スキャナーで撮影した画像を担当者以外の人が閲覧しないようにすることや疑わしい物以外は身元が分からないようにすることなどを挙げた。

 さらに、携帯用機器であれば、プライバシーを侵害することなく、服の上や壁越しに爆発物を探知することが可能だと述べた。その上で、こうした装置で第一段階の探知を行い、よりプライバシー侵害度の高い検査はその後に行うのが適正だとの考えを示した。(c)AFP