【3月9日 AFP】地中海東部の島国キプロスの警察は9日、3か月前に墓から持ち去られた故タソス・パパドプロス(Tassos Papadopoulos)前大統領の遺体が8日夜、発見されたと発表した。

 匿名の電話による情報提供で、首都ニコシア(Nicosia)郊外の墓地で発見された遺体は、DNA検査で前大統領のものであることが確認された。最初に前大統領の遺族にブロークンなギリシャ語で電話があり、遺族が警察に電話を転送した。電話の発信源として探知されたニコシア南部の村内にある公衆電話ボックスは警察が封鎖し、内部の指紋を採取した。見つかった墓地は、大統領の墓地から5キロと離れない位置だった。

 国営テレビによると遺体が発見された8日夜、前大統領の遺族は同墓地に集まった。泣きながら現場を離れる前大統領の娘、アナスタシア(Anastasia)さんの姿も見かけられた。

 08年に肺がんのため74歳で亡くなったパパドプロス前大統領の墓所は、亡くなってからちょうど1年目になる前日の09年12月11日に荒らされ、棺から遺体が持ち去られていた。

 今回の事件ではキプロス国内に動揺が広がった。パパドプロス氏が大統領就任前、運営していた弁護士事務所が成功していたこと、妻のフォティーニ(Fotini)夫人が裕福なレベンティス(Leventis)家出身であることなどから、キプロスのメディアは金銭目当ての盗難だったと憶測している。しかしこれまでのところ前大統領の遺族は、金銭を要求する接触はないと述べている。(c)AFP/John Leonidou

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