【3月2日 AFP】ポルトガル語を母国とする国々での正書法の統一が、ポルトガル国内でもようやく始まりつつある。しかし、統一的に実施されていないため、多くのポルトガル国民が混乱しているという。

 ポルトガルの文字改革は20年以上の議論の末、「ブラジル式」にしていくことで2008年にポルトガル議会で承認された。現在は報道機関が中心となって新たな「つづり」の採用をすすめているものの、政府は学校教育などで二の足を踏んでいる。

■混乱するポルトガル国民

 ポルトガル政府は新正書法の2014年までの移行を打ち出しているが、教育省は新正書法の実施をたびたび延期しており、学校では2014年まで新旧両方の正書法を採用するとしている。

 また、新聞社の多くも「漸次的な」移行を行うとしており、ある地方紙は「当面は約70%ほど」改正を採用するとの考えを表明しており、こういったことが住民の混乱にさらに拍車をかけている。

「改革が矛盾に満ちている」として採用を拒否しているポルトガル日刊紙プブリコ(Publico)のヌーノ・パチェコ(Nuno Pacheco)共同責任者は、「(改革は)バカげている」と述べ、「子どもたちは学校で教わったものと違う正書法で書かれた新聞を読むことになる」と語る。

 一方、教師のエリザベート・ロドリゲス(Elisabete Rodrigues)さんは、新正書法に表記を改める際の規則が複雑な点を指摘している。

■正書法の共通化がもたらすもの

 現在ポルトガル語を話す2億3000万人のうち、推定1億9000万人がブラジルに暮らしている。正書法を統一することで、インターネットの検察が容易になり、法的文書の共通化がますます進み、ポルトガル語の映画や書籍の市場が拡大することになるとされている。

 2月初めに改革支持を打ち出したポルトガルLusa通信の情報関連責任者のルイス・ミゲル・ビアナ(Luis Miguel Viana)氏は、「正書法の共通化は、特にブラジルなどで巨大な市場を開くことになる」と語った。

 一方、言語学者のアントニオ・エミリアーノ(Antonio Emiliano)氏は、「正書法の改悪だ。ブラジルの拡大のための政治の道具になっている」と主張する。元植民地のブラジルですでに進められているこの文字改革について、エミリアーノ氏ら反対派は、ポルトガル文化をブラジルの「市場の力」に明け渡すも同然だと主張している。(c)AFP/Thomas Cabral