【2月26日 AFP】2001年にアフガニスタンの当時の支配勢力タリバン(Taliban)によって破壊されたバーミヤン石仏(Bamiyan Buddha)について、日本が破壊防止のため、解体などによる保存策の提案をタリバンに行っていたことが、当時の駐パキスタン・アフガン大使の回想録から明らかになった。

 米国でこのほど出版された回想録「My Life With The Taliban(タリバンとの生活)」を執筆したのは、当時メディアに頻繁に露出し、タリバンの「顔」と目されていたアブドゥル・サラム・ザイーフ(Abdul Salam Zaeef)元駐パキスタン大使。01年のタリバン政権崩壊後にキューバ・グアンタナモ(Guantanamo)米海軍基地内にあるテロ容疑者収容施設に収容され、現在はアフガニスタンの首都カブール(Kabul)に住む。

■「公式代表団がさまざまな提案」、海外移設案も

 回顧録によると、タリバンがバーミヤン石仏を破壊しようとしていた01年、日本は破壊をやめさせようと最も熱心に働きかけてきた国だった。スリランカの僧侶らを伴ってザイーフ氏を訪れた日本の公式代表団は、石仏を解体して海外に移送し再度組み立てる案や、石仏の頭からつま先まですっかり隠してその存在を視認できないようにするなどの保存策を提案したという。

 代表団は、アフガニスタン人は仏教徒の先祖にあたり、仏教遺産を守る責任があると説いたが、ザイーフ氏はアフガン人にとって仏教は「空虚な宗教」だと返答。「われわれを先祖と見なし従ってきたのなら、われわれがイスラム教という真の宗教を見つけたときに、なぜその例に従わなかったのか」と反問し、イスラム教への改宗を暗に迫ったという。

 ザイーフ氏は、石仏の破壊を「イスラム法にのっとったもの」としつつ、「タリバン政権の外交を悪化させる悪い契機となった」とも記しており、苦い思いをかみしめているようだ。(c)AFP