【2月25日 AFP】イタリア・ミラノ(Milan)の裁判所は24日、米インターネット検索大手グーグル(Google)の動画サイトに投稿されたダウン症の10代少年がいじめを受けている動画を放置したとして、プライバシー侵害と名誉毀損の罪で起訴されていた同社幹部と元幹部の3人に、執行猶予付き禁固6月の有罪判決を言い渡した。  

 この問題は2006年末に、動画サイト「Google Video」イタリア版に、トリノの学校の生徒4人が10人以上の生徒たちの前でダウン症の少年をいじめる様子を撮影した動画が投稿され、約2か月にわたって視聴が可能だったもの。いじめを行った生徒らは事件発覚後、年度末までの停学処分を受けたが、事件に対してはイタリア全土で強い怒りの声が上がっていた。

 起訴されていたのはグーグル・イタリアの取締役会議長(当時)、取締役(辞職)、欧州地区プライバシー保護担当役員、欧州地区の動画担当役員1人の計4人で、動画担当役員を除く3人が、プライバシー侵害で有罪となった。名誉毀損については4人とも無罪になった。

■問われる投稿サイトの在り方、責任はどこに

 グーグル側は、「表現の自由の原則を侵す驚くべき判決だ」として、直ちに控訴する意向を表明した。同社広報はAFPに対し、「4人は、問題の動画の撮影や投稿に関与したわけではなく、動画を閲覧したわけでもないのに、刑事責任を問われた。投稿される写真や動画、投稿をすべて監視しなければならないとすれば、インターネットは現在の形で存在できなくなる」と主張している。

 事件を受け、イタリア政府は現在、動画サイトに通信当局からの免許取得の義務化を検討している。グーグルはこれについても、同社の動画共有サイト、ユーチューブ(YouTube)などにテレビ局と同様の責任を負わせるものだとして、懸念を表明している。(c)AFP/Gina Doggett