【2月12日 AFP】ケニア・ナクル(Nakuru)のソイサンブ保護区(Soysambu Conservancy)で10日、飢えたライオンたちの「餌」にするため、シマウマ数千頭の捕獲作戦が始まった。

 これは、アンボセリ(Amboseli)国立公園で飢えたライオンが家畜を襲う被害が後を絶たないことから、ケニア野生生物庁(Kenya Wildlife Service)が計画した作戦。今月末までに、全国各地の保護区からシマウマ4000頭とヌー3000頭の計7000頭程度を、アンボセリへ移送する。同国の動物移送作戦としては類を見ない規模だ。

 移送の目的は、アンボセリ国立公園の肉食動物と草食動物の均衡を回復させ、ライオンやハイエナによる家畜の襲撃を減らすことにある。

 東アフリカ一帯は前年、史上最悪とも言われる大干ばつに見舞われた。アンボセリでは、長引く乾季のために動物たちが例年の季節移動を行わず、シマウマとヌーの60%以上が死滅。肉食動物と草食動物の数の均衡が崩れ、餌にありつけなくなった肉食動物たちが家畜を狙うようになったという。

 なお、ケニア野生生物庁は前年8月、家畜を襲ったために人間に「成敗」されるライオンが毎年100頭に上ると発表。生息域の破壊や病気、人口増加などの理由も加えると、ライオンの個体数は7年前の2749頭から2000頭に激減したとの統計を明らかにしている。
 
 ケニアは以前にも動物の大規模移送を行っており、2005年にはゾウ人口が過密な海岸地方の自然保護区から400頭を内陸部へ移送する作戦を行ったが、干ばつのため移送されたゾウたちの命が危険にさらされるとして、中止を余儀なくされた。(c)AFP/Otto Bakano