【2月7日 AFP】2010年バンクーバー冬季五輪の選手村で、オーストラリア・チームの持ち込んだ巨大な「ボクシング・カンガルー(Boxing Kangaroo)」の旗が波紋を広げ、扱いをめぐって大会組織委員会側と対立の種になっている。

 今回総勢45人のオーストラリア代表団が滞在する選手村の建物で、8枚のオーストラリア国旗を従え、2階分のベランダを覆うようにして下げられたのが、赤いボクシング・グローブをはめた黄色いカンガルーが描かれたカラフルな旗だ。

 しかし、国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)は豪代表団に、この旗は商標として登録されているもので五輪の規定に抵触するため、すぐに撤去するように求めた。

 これに対し豪代表団の幹部らは、旗は2000年のシドニー五輪以来、オーストラリアの五輪代表団には欠かせないものだと主張し、五輪期間中ずっと掲げておくつもりだと譲らない。

 オーストラリア五輪委員会(Australian Olympic CommitteeAOC)のイアン・チェスターマン(Ian Chesterman)氏は、「現時点でこの旗による商業的利益は生じないし、ここにこのカンガルーが掲げられていることで、誰の損になるわけでもない。それどころかいろんなスポーツの試合で、オーストラリアのシンボルとして認識されてきたと思う」と述べている。

 オーストラリアのジュリア・ギラード(Julia Gillard)副首相は豪TV局ナイン・ネットーワーク(Nine Network)に対し、IOCの要請について「馬鹿げている」と一蹴し、「こんな恥知らずな判断をされては、もっとカンガルーの旗を見たくなる。いっそ、どこもかしこもボクシング・カンガルーだらけにしてしまえばいい」と憤った。

 豪州チームの象徴として「ボクシング・カンガルー」のイラストが知られるようになったのは、国際ヨットレース、アメリカズカップ(America's Cup)の1983年大会でオーストラリア・チームが初優勝したときだ。「ボクシング・カンガルー」の権利は後に、このときの勝利艇、「オーストラリアII(Australia II)」号のオーナーだった実業家アラン・ボンド(Alan Bond)氏から、AOCが買い取った経緯がある。(c)AFP