【2月6日 AFP】インドのアンダマン・ニコバル諸島(Andaman and Nicobar Islands)に暮らしていた、人類最古の文化の1つの末裔(まつえい)だと考えられている部族の最後の1人が死亡したことが明らかになった。

 英ロンドン(London)に本拠を置き、世界の部族のためのロビー活動を行っているサバイバル・インターナショナル(Survival International)が4日発表したところによると、ボ語(Bo)の最後の話者、Boa Srさんが前週、85歳前後で亡くなった。

 ボ語は大アンダマン語派(Great Andamanese languages)に属する10の言語のうちの1つだった。ボ語を話す人々は約6万5000年前からアンダマン諸島で暮らしていたとの説もある。

 英国がアンダマン諸島を植民地にした1858年の時点で、大アンダマン語派の言語を話すボ族ら10部族の人口は5000人強だったが、その多くが殺されたり、病気で亡くなったりして現在は52人しかいない。Boaさんはそのなかで最高齢者だった。

 サバイバル・インターナショナルは「Boaさんの死によってボ語は絶滅した。アンダマン諸島の残りの部族に同じことが起こることを許さないという決意を新たにした」との声明を発表した。

 大アンダマン語派の言語を話す人々は食料と住居をほぼインド政府に依存しており、アルコール依存もまん延している。

 Boaさんは2004年12月の大津波も体験し、そのことについて言語学者に「地震が起きた時私たちは全員その場にいた。長老が私たちに『大地が裂けるかもしれないので、逃げたり動いたりするな』と言った」と語っていた。(c)AFP