【11月25日 AFP】西アフリカ・ベナン沖で、原油タンカーが海賊の襲撃を受け、ウクライナ人乗組員1人が死亡した。積荷の原油は無事だった。船主やベナン海軍司令官が24日、明らかにした。

 ベナン海軍司令官によると、このタンカーはリベリア船籍の「Cancale Star」号。同タンカーのラトビア人船長によると、ナイジェリアのニジェールデルタ(Niger Delta)から原油8万9000立方メートルを運んでいた。乗組員は24人で、ロシア人やフィリピン人、ラトビア人、ウクライナ人などだという。

 海賊は6~7人で、スピードボートで近づいてきたという。暗闇の中、タンカーに乗船してきた際、ウクライナ人船員を射殺した。同タンカーに乗船した医療関係者によると、乗組員4人が負傷しており、うち1人は重体だという。

 海賊は、タンカー乗組員がサイレンを鳴らして警告を発すると逃げ出した。その際、海賊の1人が乗組員によって取り押さえられ、警察に引き渡された。捕まった海賊は警察に対し、ナイジェリア国境の町から来たと供述しているという。

 国際海事局(International Maritime BureauIMB)によると、西アフリカ海域での海賊行為は増加傾向にあり、前年は100件以上発生しているという。

 世界各国の海軍は、世界有数の海上輸送路で行われている身代金目的の海賊行為を取り締まるため、アデン湾(Gulf of Aden)に戦艦などを派遣した。これを受け、海賊グループは広大すぎてパトロールが困難なインド洋全域に散らばり、セイシェル近辺にも出没している。(c)AFP/Fiacre Vidjingninou