【11月21日 AFP】(写真追加、記事更新)18日に行われた2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)欧州プレーオフ、アイルランドとの第2戦で、決勝点につながるハンドを犯したフランス代表の主将ティエリ・アンリ(Thierry Henry)は、再試合が「もっとも公平な解決策」だとコメントしたが、フランスサッカー連盟(French Football FederationFFF)は20日、再試合は論外だと発表している。

 FFFは声明で「アイルランドの選手、関係者、ならびにサポーターの失望と苦痛は理解している。連盟はフランスの得点が認められた判定のミスを否定しようと動いたことはない。試合中の決定は審判によって下されるものであり、その判定が最終的なものだ。したがって試合結果の変更、ならびに再試合を行うことはできない」と発表している。

 これに対しアイルランド・サッカー協会(Football Association of IrelandFAI)は、再試合は「サッカーの高潔さとフランス代表チームのプライドを守る」として、共同で国際サッカー連盟(Federation Internationale de Football AssociationFIFA)に再試合を要請するようFFFに働きかけている。

 18日の試合の映像ではアンリが手を使ってボールを止めたことが認められ、アンリはこのプレーの後でウィリアム・ギャラス(William Gallas)の決勝点をアシストし、フランスは本大会出場を決めている。

 FIFAが「試合結果の変更や代替試合を行うことはできない」と裁定した後でアンリは声明を発表し、「もちろん再試合はもっとも公平な解決策だが、自分にはコントロールできない。こういう形で勝利したことに困惑しており、南アフリカ行きにふさわしいアイルランドにとても申し訳ない」とコメントしている。

 アンリのコメントを歓迎したアイルランド代表の主将ロビー・キーン(Robbie Keane)は、「アイルランド共和国のキャプテンとして、フェアプレーの精神にのっとり再試合が行われればうれしい。そうすればどちらのチームも堂々と本大会に行ける」と語っている。

 アンリのハンドは欧州中で論争を巻き起こし、ベルギーのブリュッセル(Brussels)で開催されたEUサミットではフランスとアイルランドの首脳がこの問題を話し合っている。

 ハンドについてアンリは「以前にも話したが、もう一度繰り返す。ボールを手で扱った。自分は詐欺師ではないし、これまで欺こうとしたこともない。ペナルティーエリアの混戦の中で来たボールへの本能的な反応だった」と語り、緊迫した状況で起きた出来事だったと明かしている。

 スウェーデン人のマーティン・ハンソン(Martin Hansson)主審はアンリのハンドを見落としたが、FIFAは声明で「競技規則に明記されている通り、試合中の決定は審判に委ねられており、その決定は最終的なものである」と発表し、主審の決定を覆すことはできないと強調している。

 フランス代表のレイモン・ドメネク(Raymond Domenech)監督は、「ビデオを見たが、あれは審判のミスだ。なのでなぜわれわれが謝罪を求められているのか分からない」と話し、謝罪する構えを見せていない。

 元アイルランド代表の主将ロイ・キーン(Roy Keane)氏は、アイルランドは予選を通じて審判のミスに助けられていたと語り、再試合を求めるのはナンセンスだとコメントしている。

 FAIの幹部と衝突して2002年の日韓大会のメンバーを離脱したことで知られるキーン氏は、「サポーター、(ジョバンニ・トラパットーニ(Giovanni Trapattoni)監督、ほとんどの選手にはもっとふさわしい状況があると考えているが、FAIはそれに見合うとは思わない。なるようにしかならないよ」と語っている。(c)AFP