【11月16日 AFP】オーストラリアのケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相は15日、1930年~70年ごろに同国内の複数の児童養護施設で子どもたちに対する虐待や強制労働が行われていたとして、この期間に入所していた約50万人に、国家として公式に謝罪した。

「われわれは今日、国家として皆さんに謝罪します。『忘れられたオーストラリア人』である皆さんは、幼少時に何の了承もなく、家族と引き離されてオーストラリアに送られた。申し訳ない」

 ラッド首相は、議会に招かれた約1000人の被害者らを前にこのように述べ、肉体的、精神的苦痛、愛や優しさの欠落した「感情的な飢え」について謝罪。「疑問の余地のない悲劇である子ども時代の喪失を謝罪する」と語った。

 2004年に上院が行った調査などによると、家庭崩壊や母子家庭などの理由で公営や教会運営の児童施設に送られた子どもたちは、外部の監視のほとんどない国営や教会運営の施設で、体罰や精神的虐待、性的虐待、養育放棄、強制的な下働きなど心身両面での虐待を受けていた。中には、英国から移民として送られてきた子ども7000人も含まれるという。

 子どもたちには、食事や教育、医療ケアも満足に与えられなかったという。また、多くは両親や兄弟の顔も知らず、施設間をたらい回しにされていた。自分の名前さえ知らない孤児もおり、子どもたちを番号呼んでいた施設もあったという。(c)AFP