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温暖化防止の有効打となるか、日本で開発が進むCCS技術とは?

2009年11月2日 18:28 発信地:福岡

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温暖化防止の有効打となるか、日本で開発が進むCCS技術とは?
福岡県大牟田市の三川発電所内にある、東芝(Toshiba)のCO2分離回収・貯留技術(CCS)のパイロットプラント(2009年11月29日撮影)。(c)AFP/Kimiko de FREYTAS-TAMURA
【11月2日 AFP】世界の石炭需要が中国やインドを中心に今後数十年間は増加するとみられる中、気候変動対策に大いに役立つと科学者らが期待する新技術の実験が、日本で進められている。

 東芝(Toshiba)は、福岡県の三川発電所内に設置した6階建てのパイロットプラントで、CO2分離回収・貯留技術(Carbon Capture and StorageCCS)の実証試験を行っている。同社はこの技術について、地球温暖化の原因の1つとされる産業部門からの温室効果ガス排出を抑える上で、風力や太陽光のような再生可能エネルギーを補完する存在ととらえている。

 東芝の担当技術者は、温室効果ガス削減に「確実な方法はない」と語った上で、太陽光エネルギーですべての問題が解決できるわけではなく、単純に火力から原子力に切り替えるという選択もできない以上、排出削減の均衡を取る必要があると強調した。

■回収の仕組み

 東芝は前月、このパイロットプラントで、火力発電の際に石炭から出る実燃焼排ガスから10トン規模のCO2を分離・回収する試験を開始した。

「燃焼後回収方式」と呼ばれる方式で、排ガスはボイラーの中に注入されアミン系吸収液と混合される。その後、加熱と冷却をくりかえすことで、CO2は分離し液状に圧縮される。次に、この混合液を地層深くに貯留し大気に触れない状態にする。ただ、この段階は、日本ではまだ実現していない。

 このパイロットプラントでは全排出量のわずか10%ほどしか回収できず、CO2貯留方法の見通しもついていないものの、東芝は最終的には回収率を最大90%にまで高めることが可能な技術だとしている。

■貯留方法などで懸念も

 CCS技術は、徐々に世界各地に広がっており、北米や欧州、北アフリカで5つの大規模なプロジェクトが進んでいる。だが一方で、多くの懸念も指摘されている。

 環境保護団体などは、地中に貯留したCO2が徐々にしみ出してくる可能性を指摘。地質学者からは、地表への噴出や小規模な地震を引き起こす危険があるとの声も上がる。

 また、クリーンエネルギーへの早急な転換が必要なこの時代に、CCS技術が化石燃料使用を「延命」させるのではないかとの懸念も出ている。この技術が採掘困難な石油資源やメタンガス資源の利用を「一掃」してしまう可能性は、CCS技術の反対派、推進派双方ともが指摘している。

 コストの問題もある。エネルギーの専門家によると、CCS技術を導入した発電所は、通常の発電所に比べてエネルギー消費が最大40%、コスト面では60%も増加するという。その分、消費者負担も増える。

■国内での利用は難しい?

 太陽光エネルギー市場にも今年から参入した東芝は、2015年までにCCS技術を市場に売り出し、20年までに1000億円規模の収益をあげることを目指す。

 CCS技術をめぐっては、前年、日本で開催された主要8か国(G8)首脳会議で2010年までに20か所以上の、2050年までに3000か所以上のCCSプロジェクトを推進する方針が示されたことなどもあり、東芝のほかにも三菱重工(Mitsubishi Heavy Industries)や、電源開発(J-Power)とIHI、三井物産(Mitsui)で作るグループなど、複数の日本企業が開発に参入している。

 日本は今後、CCS技術を先導していく可能性があるが、専門家によると、地震の多い日本国内ではCCS技術の幅広い利用は難しく、技術開発の大半は輸出を目的としたものと見られている。(c)AFP/Kimiko de Freytas-Tamura
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