【10月24日 AFP】(一部訂正)フランス捜査当局は22日、同国犯罪史上最大のミステリーの1つとされる、25年前の少年殺人事件について、犯人の手紙から採取されたDNAにより、新事実が浮かび上がった可能性があると述べた。

 1984年10月、フランス東部ボージュ(Vosges)山地を流れるボローニュ(Vologne)川で、4歳のグレゴリ・ビルマン(Gregory Villemin)ちゃんが手足をしばられた状態で水死体で発見された。

 事件の翌日、グレゴリちゃんの両親の自宅に犯行声明が届いた。手紙には、自分がグレゴリちゃんを殺したこと、そして、殺害が「復讐」であることが書かれていた。両親はそれまでにも匿名の嫌がらせの手紙を受け続けていたという。

 17年間におよぶ一大捜査が行われたものの、結局、犯人も手紙の届け人もわからないまま、2001年に捜査は打ち切りとなった。

■再捜査でDNAみつかる

 しかし、ジャンマリ・ブネ(Jean-Marie Beney)検察官によると、新たなDNA鑑定方法などにより当局は前年12月に捜査を再開し、ついに、事件から9か月後に送られた手紙に2人分のDNAを発見したという。

「われわれは密封管理されていた証拠品から、2人分のDNAを発見した。切手の裏側に女性のDNA、手紙に男性のDNAがあった」(ブネ検察官)

 DNA検査は、グレゴリちゃんの両親、ジャンマリ・ビルマン(Jean-Marie Villemin)さん、クリスティーヌ(Christine Villemin)さん夫妻の要請により実施された。捜査状況に詳しい情報筋によると、発見されたDNAは両親のものではなかったという。

 ビルマン一家の弁護士は、両親が「今もなお、真実の解明を望んでいる」と語った。

■親族間で犯人探し

 グレゴリちゃんの事件は捜査が進むにつれ、地元のねたみや親族内の憎しみの絡み合う様相が明らかになり、フランス戦後の犯罪史上、最大の謎の1つとされる事件となった。

 ビルマンさんのいとこ、ベルナール・ラロシュ(Bernard Laroche)さんは、10代の義理の妹の証言により、事件から1か月後に殺人罪で起訴された。しかしその後、義理の妹が証言を撤回したため、ラロシュさんは釈放される。

 しかしその直後の1985年3月、ビルマンさんがラロシュさんを銃殺。ビルマンさんは有罪判決を受け、刑務所に2年6か月間収容された。

 だが、ビルマンさんがラロシュさんを殺害した後も、中傷の手紙は届き続けた。

 その後、今度は母親のクリスティーヌさんが息子を殺した疑いで起訴されたが、事件の8年後に起訴が取り下げられた。

 ビルマン夫妻は現在、パリ(Paris)南部で2人の子どもと一緒に暮らし、父親は地元の自動車部品の技術者として働いている。2人は現在も、ラロシュさんが犯人だったと主張している。
 
 22日には、ラロシュさんに先立たれた妻、マリアンジュ(Marie-Ange)さんの弁護士が、ラロシュさんの無実を証明するために大規模な再捜査をするべきだと主張した。マリアンジュさんは11月に、事件についての本を出版する予定だという。(c)AFP/Gerard Dubus